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「意見ひろば」:発展する農業法人に思う

 農業経営が厳しいといわれる中山間地帯で2億円余の売上高を挙げ、9名の常勤の従業員と2名のアルバイトを雇用している、A法人の社長の講演を聴く機会があった。A法人は、平成23年の農林水産祭で天皇杯に輝いた法人である。

 A法人が法人としての経営を始めたのは平成8年ということであるが、代々家族経営を続けてきており、現社長の父親が法人化したという。今でも父親が法人の会長として経営の中心になっているとみられるが、今日の立派な経営を実現するまでには相当の紆余曲折があり、家族皆が苦労されてこられただろうことは想像に難くない。

 A法人成功の要因がどこにあったのかは、様々な要因が挙げられようが、客観的な事実としては、天皇杯の審査委員会がまとめたところということになるのであろう。しかし、ここでは、社長の話から筆者なりに農業はかくあってほしいと思われる点をいくつか紹介してみたい。

1 A法人の経営概要

 本論に入る前に、A法人の経営概要を簡単に紹介しておきたい。社長の話を要約したものであるので、必ずしも正確な紹介にはなっていないかもしれないが、家族経営の時代から一貫して耕畜一体経営を経営の柱としてきたという。

 耕種部門は水稲が中心で、現在約30ha近くを作付けており、コシヒカリが8割、モチが1割、その他1割の構成という。水稲関係では、その他に、耕起・代掻き7ha、田植え5.5ha、刈取り12.5haの作業受託を行うとともに、12,000枚の育苗を行っている。また、ライスセンターも所有しており、乾燥調製で4,600俵、籾摺りで6,000俵を取扱い、地域の農家にも活用してもらっているという。

 畜産は酪農で、牧草地を6.5ha持っており、経産牛26頭、育成牛12頭を飼育している。搾乳牛をこれ以上増やすことは考えていないという。

 他に、果樹が0.5ha(巨峰)、野菜はアスパラガス0.4ha、ニンニク0.5ha、その他野菜を0.3ha生産している。

 農産加工では、餅、あげ餅、ジェラートを作っているという。

 なお、アンテナショップを近くのリゾート地に開店しているが、冬場はほとんど客がないという。しかし、一年を通して開店することが条件になっているので、客が少ないからといって冬場も店を閉めるわけにはいかないという。

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