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「意見ひろば」:食料自給率考

土田 清藏
((一財)農政調査委員会 専門調査員)

目次

はじめに

1 我が国食料自給率の現状
(1)食料自給率の意味
(2)食料自給率問題の背景
(3)食料自給率の目標設定とその意義
(4)食料自給率の目標設定に見る問題点

2 食料自給率の現状認識と目標設定の諸問題
(1)60年ないし65年の食水準は理想型なのか
(2)食料自給率低下の主要因は食生活の変化なのか
(3)どのように見る平成の食料自給率動向

3 食料の安定供給のために何を議論すべきか
(1)議論の前提-人口問題
(2)求められる国内農業生産力に関する正確な情報提供
(3)欠如する国際食料戦略

4 むすびに代えて

はじめに

 平成27年3月に閣議決定を見た国の食料・農業・農村基本計画に、食料自給率の目標とは別に初めて「食料自給力」という概念が取り入れられた。本来そうすべきであったのではないかと考えるだけに、まずは一定の評価をしたい。

 食料自給率をめぐってはこれまでも様々な議論が行われてきている。共通してみられるのは我が国の食料が置かれた状況を説明する手段として使われているというくらいで、それ以外は、食料自給率の出し方、あり方、評価、使い方等々多方面にわたる課題が取り上げられ、まさに多種多様であるが、残念ながらいずれも我が国の食料問題についての国民的議論を巻き起こすまでの道具を提供しているとは言い難い。

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