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日本の農業:第255集:都市農業・都市農地の新たな展望

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■発行日:2021(令和3)年1月15日

■対象:日本

■編集:農政調査委員会

■報告:松澤 龍人・八木 洋憲・小川 真如

■在庫:あり

■ページ数:165p.

■目次:

  • 第一章 新たな都市農地制度の施行と東京都内においての対応と状況(松澤 龍人)… 1
  • 座談会① 新たな都市農地制度の施行と東京都内の状況について… 21
  • 第二章 都市農業の持続可能性と継続可能性(八木 洋憲)… 31
  • 座談会② 都市農業の持続可能性と継続可能性について… 53
  • 第三章 岐阜市の市街化区域内農地をめぐる課題と展望(小川 真如)… 67
  • 補論 広島県における生産緑地制度の導入をめぐる状況―JA広島市に対するヒアリング調査結果―(小川 真如)… 85
  • 第四章 新たな開発圧力に直面する神奈川県相模原市における農業 ―スーパー・メガリージョン形成下における相模原市農業―(小川 真如)… 89
  • 第五章 神奈川県相模原市における生産緑地所有者の意向(小川 真如)… 135
  • あとがき(農政調査委員会)… 163

■あとがきより:

都市農業や都市農地に対する政策的な位置づけが大きく変化した。具体的には、従来までの「都市農地は、都市的利用に転換すべき」施策から「都市農地の有効活用、保全」及び「都市農業の振興」への転換である。。

具体的には、2017年に、「都市農業の安定的な継続を図るとともに、多様な機能の適切 かつ十分な発揮を通じて良好な都市環境の形成に資することを目的として」都市農業振興基本法が制定された。。

生産緑地の指定日から30年となる「2022年問題」に直面して、2018年には都市農地貸借法が制定され、生産緑地法が改正された。その結果、生産緑地の貸借が認められるとともに生産緑地法改正により、「①生産緑地地区の面積要件を引き下げ、②生産緑地地区における農産物の直売所や加工施設、農家レストランなども認める建築規制の緩和、③特定生産緑地制度の創設」が認められた。。

ところが、三大都市圏特定市における農業就業人口のうち、70歳以上の高齢者の割合が約5割に達しており、農業従事者の高齢化や担い手不足等が一層深刻となっている。都市農業は、農業経営の改善や営農の継続そのものが困難となり、相続等を契機とした農地の売却、転用が更に進むおそれがある。一方、今後、人口減少や高齢化の進行により、一部の地域を 除いて宅地や都市的需要が低下し、空き家率が上昇し、賃貸用不動産経営も困難になっていくことが見込まれる。この結果、開発圧力による農地転用の需要は低下するものの、農業以外による安定的な収入の下で継続されてきた都市農業の経営基盤が不安定化することが見込まれている。。

当財団では、「都市農業・農地をめぐる諸環境の変化」と「今後の都市農業・農地の方向」について、以下のような研究会を開催した。。

①「都市農業・農地をめぐる制度改正の意義と限界」、安藤光義(東京大学院大学教授)、②「新たな都市農地制度の施行と東京都内の状況」、松澤龍人((一社)東京都農業会議業務部長)、③「都市農業の今後の展開について」後藤光蔵(武蔵大学名誉教授)「都市農業の持続的可能性と継続可能性について」、④八木洋憲(東京大学院大学准教授)。

同時に、都市農業、農地利用の動きについて、実態調査を実施した。調査対象地として、神奈川県相模原市を選定した。相模原市は神奈川県北部に位置する人口72万の政令指定都市であると同時に交通の要衝であり、住宅だけではなく物流関連の都市的な需要が強い地区である。相模原市の都市農業及び農地の実態は、東京都や神奈川県横浜市、大阪市等の「巨大都市」と共通点もあるが異なる課題がある。。

相模原市の都市農業、農地について、農業委員および農地利用最適化推進委員の協力を得て、農業経営及び土地利用の現状についてヒアリング調査を実施した。さらに、生産緑地所有者の農業経営と農地利用の実態と意向についてアンケート及びヒアリング調査を実施した。合わせて、相模原市と似た条件のある岐阜市、和歌山市、広島市でもヒアリングを実施した。 本書は、相模原市での実態調査及び新たな都市農地制度の施行と対応と都市農業の可能性に関する部分を中心にまとめたものである。

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