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短報・コラム:食と農をつなぐ農家民泊の可能性 ―鴨川農家民泊組合をたずねて(その1)―

菖蒲柄の太巻き祭り寿司(玉子巻)

菖蒲柄の太巻き祭り寿司(玉子巻)

 春爛漫、花見日和の4月初旬に、千葉県鴨川市の「鴨川農家民泊組合」を訪問した。東京から車で約2時間、東京湾アクアラインに乗って渋滞もなくスムーズに行くことができた。鴨川市は、房総半島の南東部に位置しており、海と低山に囲まれた豊かな自然環境のなかにある。なかでも日本で唯一天水のみで耕作しているといわれる「大山千枚田」は、1999(平成11)年に農林水産省「日本の棚田百選」として認定されたり、2002(平成14)年に「第8回全国棚田サミット」の開催地として選定されたりするなど、大変有名である。

 鴨川農家民泊組合は、その大山地区を中心として展開しており、営業は許可の下りた2009(平成21)年から本年で3年目を迎えた。現在、鴨川農家民泊組合は、「清水」「塔之越」「五郎兵ヱ」「御山王」「平山」(いずれも屋号)の5軒によって構成されており、農家体験メニューなどの充実を図っている。最近では各種メディアに取り上げられることも増え、宿泊客は主として都会からやってくる。

 鴨川農家民泊の魅力は、ありのままの農家に「田舎の親戚・田舎の友人の家」のような感覚で宿泊でき、地元の名産である「長狭米こしひかり」をはじめとした旬の食材を利用した郷土料理が楽しめることである。鴨川農家民泊組合の主婦達の料理練習会を出発点にして組織された「鴨川郷土料理研究会いろり波田」では、鴨川の郷土料理づくり研修、カレンダー《鴨川の郷土料理》作成、郷土料理づくり体験による食育活動、イベントを活用した普及活動などを実施している。

郷土料理づくり研修の様子

郷土料理づくり研修の様子

 今回は、鴨川農家民泊組合への訪問の機会と併せて、「鴨川郷土料理研究会いろり波田」の郷土料理づくり研修会および総会に参加させていただくことができた。この日は、鴨川の郷土料理である太巻き祭り寿司と柏餅を作ることとなり、筆者も海苔を切ったり、餡子を丸めたりして手伝うことができた。さらに農家の皆さんから指導を受けつつ、菖蒲柄の太巻き祭り寿司づくりを体験させていただいた。太巻き祭り寿司づくりの魅力は、初心者でも楽しみながら作ることができ、しかも自分で作ったものであるからなおさら美味しく食べられることである。鴨川農家民泊では、定期的に開催される郷土料理研究会において料理技能の向上を図りつつ、宿泊者に対して多様な柄の太巻き祭り寿司づくりの体験メニューを提供している。(つづく)

付記:現地調査に際しては、農学生命科学研究支援機構「調査に対する活動経費の助成」より支援を受けました。記して感謝申し上げます。

 (研究員・佐藤奨平)

柏餅

柏餅

漉し餡

漉し餡

農家オリジナルの味噌餡

農家オリジナルの味噌餡

菖蒲柄の太巻き祭り寿司(海苔巻き)

菖蒲柄の太巻き祭り寿司(海苔巻き)